· 2023/12/31
過去に書いたブログの中で何故かよく読まれているのが「カリフォルニア・ロケット燃料」である。Googleで検索しても一番上に出てくるから不思議である。要はSNRIとNaSSAによる増強療法であるが、神経伝達物資セロトニンとノルアドレナリンの増加は出来ても、ドーパミン増加に関しては効果が弱いのが弱点です。ロケット燃料を加えても良くならない時に、DSS(ドーパミン・システム・スタビライザー)と呼ばれているアリピプラゾール(エビリファイ)を加えると患者さんが急に元気になられることを経験し「結局はドーパミン不足だったか」と思うことがよくあります。  DSSはドーパミンが不足している時は増やし過剰な時はその働きを抑えるなどドーパミンの量を調節してくれる言わば「不思議な薬」です。ほぼ全ての精神疾患はドーパミンの減少や過剰が症状発現に関与しますので、DSSは統合失調症や双極性障害など何にでも使える便利な薬と言えるでしょう。鬱状態の場合はドーパミンが不足していますのでドーパミンを増やす為に、まず1㎎から付加し手ごたえがあれば徐々に増量します。一方では、この薬はじっとしていられないなど「アカシジア」という副作用が用量に関係なく出やすいので注意が必要です。今日も匙加減です。
 · 2023/10/26
 当院で第一世代抗精神病薬ヒルナミンの細粒を採用しました。ヒルナミンは高用量では統合失調症に対して処方しますが、低用量では鬱病や躁病の方の不安焦燥感にも使います。今でも5㎎錠や25㎎錠は採用していますが当院に来られる方には多すぎるのでわざわざ錠剤を割って使っていました。これからは、細粒で1㎎単位で微調整して処方できるので楽です。...
 · 2023/09/28
 今、諸般の事情で抗うつ薬「トリプタノール」の流通量が激減している。同薬は日本で2番目に発売された三環系抗うつ薬であり60年以上の歴史を誇る。その後、四環系抗うつ薬、SSRI,SNRIなど新しい抗うつ剤が発売され、とっくに滅んでも良いくらいの古さであるが、いまだ不滅の価値を持ち生き残っている。特に痛みに対して有効であり、副作用も多い薬であるが、腹を括って思い切った量を使うと他の薬が届かない様な慢性疼痛に効くことがある。その薬が現在では需要と供給の関係から手に入りにくくなり、少なからずおられる根強いフアンの患者さんにご迷惑をかけている現状である。  最近、ふと私が気がついたのは、この薬の色は2剤型で色が違い鮮やかな水色と黄色の2色であり、それはちょうど「ウクライナの国旗」の色であるということである。今ウクライナもロシアに侵略されて苦境に陥っているが、反転攻勢転じようとしている所である。トリプタノールは、メーカーさんにとっては古すぎて製造しても儲からない薬であるが、社会貢献の観点からも増産を頑張って頂き、他に代えがたい魅力がある薬剤の反転攻勢をお願いしたいと思います。
 · 2023/08/11
 夏バテは、暑い夏の盛りが和らいだ8月後半から9月にかけて起こりやすくなります。夏の暑さで体調を崩し、食欲不振、疲労倦怠などの症状がみられます。...
 · 2023/05/07
「抜け始めて分かる髪は長~い友達」というフレーズのテレビコマーシャルが昔、流行りました。ストレス円形脱毛になったりする方もいます。悲しい時に髪の毛が次々抜けることもよくありますが、脱毛の悩みで一番多いのは前頭部や頭頂部の薄毛や抜け毛が目立つ「男性型脱毛症(AGA)」です。髪の毛の量の問題は多変デリケートな問題であり、治療薬もありますが失礼に当たるといけないので、こちらからは勧めにくい薬でもあります。しかし、一旦服用されると皆さん喜んで服用されています。毎日薬をコツコツ服用して生毛が生えてくると嬉しくとても励みになり、逆に「薬の手持ちが少なって来ると寂しくなる」との感想を言われる方が多いです。  AGAの治療はとても長い年月が必要でありますが、先発品である「ザガーロ」は1ヶ月で8千円(税別)と高価であり、長年服用するとなると手を出しにくい薬でありました。しかし、昨年発売された同じ成分の後発品「デュタステリド」は4分の一の価格の2千円(税別)で手に入る様になりました。安すぎて「大丈夫か?」と逆に心配される方もいるますが一流企業meijiの製品であるので、品質には問題ないのでご心配なく。 「気」の漢字の中に含まれる三本の線は髪の毛であり、大昔はこの3本の線だけで気持ちの「気」を表していました(当院刻字額参照)。文字通り髪の毛は気持ちをダイレクトに現します。新しい髪の毛が生えてくることは再生でもあり希望につながり、それだけでも元気が出て来ると思います。当院では髪の毛が気になる男性患者さんに続けて欲しくて、日本一安い「卸値価格」で提供していますので、ご希望の方は遠慮なく声掛けして下さい。
 · 2022/09/25
 カリフォルニア・ロケット燃料とは、米国の高名な臨床精神薬理学者、スティーブン・ストール氏が提唱した、大胆かつ合理的な抗うつ薬併用療法のことである。...
 · 2022/04/02
メンタルクリニックの治療のメインは、その人に合った妙薬探しである。試行錯誤の末に、ピタリと薬が合うと急に良くなられることがありその報告を患者さんの口から聞く時は嬉しい瞬間である。...
 · 2022/01/05
 昨年後半から、後発医薬品の供給混乱が続いていて、改善の目途が立っていません。昨年12月30日の日経新聞でも大きく記事として取り上げられました。...
 · 2021/08/08
 リチウムに関しては、最近薬以外の利用法が脚光を浴びている。それはEV(電気自動車)などに使われるリチウムイオン電池の材料としての用途である。車がガソリン車から電気自動車に移行しつつある歴史的移行期である現在、リチウムも制する者が世界を制するとのことでし烈な資源争奪戦が繰り広げられている。最初の向精神薬であるリチウムの誕生から約50年の今感慨深いものがある。  私の勝手な説だが、人間の脳も一種の電池ではないか?人間は日々充電と放電を繰り返しながら生きている。睡眠は脳の充電であり、日中は活発に放電している。良い睡眠と適度な休息が精神安定にとても大事であると思う。  炭酸リチウム(リーマス)は現在では薬価が安すぎて、新薬販売全盛の現在では製薬会社として殆ど販促努力がされない古い薬になっている。 古典的な気分安定薬である炭酸リチウムの作用機序としていろいろな説があるが、まだはっきりと解明されていない。一方ではリチウムイオンは神経伝達物質の調整作用や神経保護作用に関わっているとの説もあり臨床上で基本的な薬である。私にとっては、今も双極性感情障害の人には第一選択の薬であり、不滅の輝きを持つ薬であると思っています。
 · 2021/02/24
最近、「涙が止まらない」という訴えの人が目立ちます。激しい精神的興奮(気逆)に伴う水逆(身体の中の水の逆流)により涙腺から涙が零れ落ちると考えられます。この様な方に当院では甘麦大棗湯(かんばくだいそうとう)という漢方薬が第一選択です。症状が強い場合は、苓桂朮甘湯(りょうけいじゅっかんとう)というを薬を併せて処方する場合もあります(苓桂甘棗湯:りょうけいかんそうとう)。甘麦大棗湯は今から約1300年前(日本の弥生時代頃)の頃の中国の書物「金匱要略」に既に書かれている薬です。  この薬の面白いのは甘草(甘味料)と小麦、大棗(ナツメ)の3種の食品で出来ていて、薬の名前がそれを表しています。現代の様に沢山の精神安定剤がある時代とは違い、安定剤など何もない時代に食品を組み合わせて精神安定を図った古人の知恵に感服します。この薬が21世紀の現在まで生き残り、ストレス社会を生きる現代人にとって「なくてはならない薬」になっています。特に妊婦や授乳中の方の精神不安定には副作用の少なさから有用な薬です。これからも積極的に使って行きたい薬の一つです。

さらに表示する