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カリフォルニア・ロケット燃料増強療法

過去に書いたブログの中で何故かよく読まれているのが「カリフォルニア・ロケット燃料」である。Googleで検索しても一番上に出てくるから不思議である。要はSNRIとNaSSAによる増強療法であるが、神経伝達物資セロトニンとノルアドレナリンの増加は出来ても、ドーパミン増加に関しては効果が弱いのが弱点です。ロケット燃料を加えても良くならない時に、DSS(ドーパミン・システム・スタビライザー)と呼ばれているアリピプラゾール(エビリファイ)を加えると患者さんが急に元気になられることを経験し「結局はドーパミン不足だったか」と思うことがよくあります。

 DSSはドーパミンが不足している時は増やし過剰な時はその働きを抑えるなどドーパミンの量を調節してくれる言わば「不思議な薬」です。ほぼ全ての精神疾患はドーパミンの減少や過剰が症状発現に関与しますので、DSSは統合失調症や双極性障害など何にでも使える便利な薬と言えるでしょう。鬱状態の場合はドーパミンが不足していますのでドーパミンを増やす為に、まず1㎎から付加し手ごたえがあれば徐々に増量します。一方では、この薬はじっとしていられないなど「アカシジア」という副作用が用量に関係なく出やすいので注意が必要です。今日も匙加減です。