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夏の漢方薬3剤

 夏バテは、暑い夏の盛りが和らいだ8月後半から9月にかけて起こりやすくなります。夏の暑さで体調を崩し、食欲不振、疲労倦怠などの症状がみられます。

 中国で紀元前に編纂された古典「黄帝内経・素問」の中で、夏バテは「注夏病・中夏病(ちゅうかびょう)」と称され「元気がなく身体が火照るのは暑さにより体が傷つけられた為だ」との記載が既にあります。

 夏バテに対する代表的な漢方薬は「清暑益気湯」「補中益気湯」「五苓散」の3剤です。 

「清暑益気湯」は医王湯とも呼ばれる「補中益気湯」とよく似た構成生薬ですが、熱を冷ます生薬「黄柏」と身体を潤す生薬「五味子」「麦門冬」が含まれているのが特徴的です。熱中症的症状で疲弊し、口喝・発汗が持続している時期の食欲不振、倦怠感などに使います。

 「補中益気湯」は夏に限らず体力が衰えた方に使われますが、この時期は夏やせ、食欲不振、倦怠感等の症状に対して使います。

 「五苓散」は体内の水分偏在を是正する利水剤であり、この時期は高温環境に暴露されての口喝、頭痛、吐気、下痢などの症状に使います。先の2剤のどちらかと併用も可能な便利な薬です。

  夏バテにはならない方が良いですが、もしなったと思われた方は、早めにご相談下さい。