エッセイ

エッセイ · 2025/07/29
 自分の親は2人、祖父母は4人、ここまでは分かる。曽祖父母は8人おられるがもう誰か分からない。その上の世代は16人、その上は32人と段々人数が増えて行く。一世代を30年とすると10世代前の300年前の江戸時代は先祖1024人、20世代前の600年前の室町時代は先祖約百万人、30世代前の900年前の平安時代前期では先祖1億人突破。40世代前の1200年前の平安中期の先祖は1兆人を超えます。その先はもう数えられない数になって行きます。  縄文時代は諸説ありますが約1万6千年前から約2300年前ですので、それに比べれば平安時代などまだ最近です。縄文まで遡ると私一人に限っても無限大の数の先祖がおられることになります。世代連鎖の凄さを実感します。日本の人口1億人の各人がそれぞれ同数の先祖を持ち、それが絡み合う親戚関係を作ると考えると日本人はもちろん全く違う人種と思える外国の人々も大陸間異動にて遠い先祖で繋がっている親戚と言えます。「人類はみな兄弟」です。兄弟同士が殺し合う戦争がいかに愚かなことであるかということを実感します。  私の臨床場面において、日々来られる患者さんは先祖を遡れば皆親戚なので、他人が診察に来たと思ってよそよそしく診るのではなく、親戚の人が訪ねて来てくれたと思って一人一人親身になって診る様に日々心掛けたいと思っています。いつも「2の階乗問題」を頭の片隅に置いて。
エッセイ · 2025/04/18
 長年医者をやっていて余り医の字を意識していませんでしたが、最近ふと「医」の中に何故矢が含まれているのか?と思い白川静先生の本やネットで検索して私なりに考えてみました。...
エッセイ · 2025/03/14
 国内3番目のオレキシン受容体作動薬であるクービビック(ダリドレキサント)が昨年登場した。他の2剤はベルソムラとデエビゴである。まだ当院ではまだ処方したばかりで、患者さんの反応はまだこれからです。クービビックは私が頻用しているデエビゴに比べて、半減期が短いので朝薬が残る感じが減るのでは?と予想しております。...
エッセイ · 2024/08/19
当院では開院以来、再診の方の予約に関しては比較的甘く対応していて、予約なしでふらっと来られた方も予約患者さんの隙間に入れて何とか診ていました。しかし、それではちゃんと予約をして時間通りに来られた方の診療時間が遅れることになり失礼になると最近思う様になりました。また患者さんによっては「あらかじめの電話予約が出来ないこと、予約日に連絡なしで来ないことなどルールが守れない事が病気の本質に関係があると考えられるので、本年7月からいきなり飛び込んで来られても受付できちんと「今日の予約時間」を決めて待って頂くことになりました。些細なことかもしれませんが「治療の枠作り」にもつながる大事なことだと思います。今まで予約せず突然来られていた方が、あらかじめ電話予約してから来られる様になり驚くこともあります。今後も予約ルールの徹底化を進めて行きたいと思っています。
エッセイ · 2024/05/07
 世阿弥の『風姿花伝』の中の言葉に「男時(おどき)・女時(めどき)」がある。男時は勢いがある時、女時はその逆の時。人の気の流れは移ろいやすく、自分の努力だけではどうしようもない流れの時もあるので、そんな時はひたすら今自分がやれることをやって次に来る男時を待つしかない。待っていれば転機(チャンス)がいずれ訪れる。と、高田明さんの本に書いてありました。  長年クリニックを運営していると、日により患者さんが全然来られない日もあれば、沢山固まって来られる日もあるなど波があります。時々入る祝日や連休や天気などの妙の影響で極端に患者さんが少ない日もあり、患者さんに見放されたか?と思う程の辛い時です。そんな時はお預かりしていてまだ書けていなかった診断書を書いて次に繋げる作業の時間に充てることが多いです。  不遇の時に先を見据えて努力を積み重ねることが大事であることを世阿弥の「男時・女時」という言葉から学びました。日々の診察の中で患者さんにも伝えて行きたいことです。
エッセイ · 2024/03/25
 精神科の診察は初診が勝負所である。初診時には、現在までの病歴が今後の診察の起点になるので看護師の予診も含めて丁寧にお聴きし、診察・診断し、助言や処方して診療終了なるが、診察後に患者さん延べられた言語情報や、医師の評価・考察などを詳細な文章としてカルテにまとめるので、精神科の初診は診察だけでは終わらない。一連の作業だけで、少なくとも一人1時間半はかかるので、精神科の初診はそんなに数がこなせない。  初診の時の記録を見れば、その人のおおよそのことが分かるので、電子カルテになった今も初診時の記録だけは直ぐに目を通せるように紙に印刷してファイルしている。スタッフにも午前・午後のミーティングでは、その日の初診の方のことの要点を伝達している。世阿弥は「初心忘るべからず」と言ったが、当院では「初診忘るべからず」である。
エッセイ · 2023/12/12
 今、先月亡くなった父の遺品である機械式時計を身に着けている。かって父が身に着けていた時計を受け継ぐことは、親の思いを引き継ぐことにつながる様な気がして大事に使っています。...
エッセイ · 2023/12/04
 この間、しばらくブログをお休みしていたのは、父が急に亡くなり喪主を務めたりして多忙を極めていた為でした。11月の土曜日の早朝に亡くなったのですが、私は土曜日の午前中は普通に外来をして夜に通夜、翌日曜日に葬儀を済ませて、診察を1日も休診することなく乗り切れました。...
エッセイ · 2023/09/13
 当院の患者さんも気分の波の中で生きておられる方が多いですが、当院も週により患者さんが多い週と少ない週があり波の中で診療をしています。今週前半は先月のお盆休みの関係で再診の方も新患予約のお電話も少なく、今日に至っては新患ゼロの凪の日でした。さすがに、患者さんが少ないと私も寂しく感じ、スタッフも黙って座っているだけの時間も増え何となく間が悪い瞬間も生じます。やはりクリニックは患者さんが多く来られて賑わっているのが生きた姿であると実感します。  今日の様に時間がある時は、溜まっている診断書などの書類を書いたりもしていますが、物を想う秋の充電時間でもあります。いつも、たまにこの様な日があると、猛烈に忙しい日がやって来ます。明後日からまた気合を入れ直して頑張ります!
エッセイ · 2023/08/30
 精神科の治療は、発症からなるべく早く症状を抑え込む初動が大事である。経験上、早く診て直ぐに投薬治療開始するほど早く良くなる。困っている人を一刻も早く救うということが一番大事なことであると思うので、当院では初診予約を他と比べて圧倒的に早く取れる様に鋭意努力している。その思いを「当院のモットー」として短文にまとめホームページの上の方の項目に掲げてみたのでご覧くださいませ。  年齢は段々重ねてきましたが、初めて医者になった時、初めて開業した時の初心を忘れず、これからも世のため人のために頑張りたいと思っています。

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