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患う人の気持ち

 週末、東京でヒルマ・アフ・クリント展を観て来ました。彼女は神智学に基づいて眼に見えない実在を探求して創作活動を行った画家です。以前は全く評価されていませんでしたが、最近になり時代の要請からか急速に評価が高まって来ています。

 高さ3mを超える大きな10点組の絵が展覧会展示のメインした。抽象過ぎて観た時はよく分からなかったですが、色が綺麗で後に不思議な印象が残る絵でした。

 絵を観た翌日、何故かふと患者さんの「患」という字について連想しました。最初は来院される患者さんは「串刺しになる程傷ついている心である」という意味が文字に含まれていると考えましたが、後では「神に捧げる玉串の心(気持ち)である」と思い直しました。

 下に掲載する象形文字の「薬」の字を見てもわかる様に、今の様な薬も無かった大昔には巫女さんが薬草を頭にかかげ玉串を持って神に祈ることしか治す術が無かったのです。玉串は祀られる神と祀る人との霊性を仲立ちするもの、患う人の治りたいという切ない心の表れでもあります。我々医療者は患者さんのそんな思いを助ける仕事が出来る様に心がけたいものです。

 よく見ると神からの啓示を受けて描いたアフ・クリントの絵は神と人間をつなぐ玉串を現している様にも見えました。

 

 

 

ヒルマ・アフ・クリント「10の最大物、成人期」☟

薬の字に含まれる玉串☟