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イントラ・フェストゥム

 7月17日に京都の祇園祭の山鉾巡行を初めて観て来た。37℃を超える炎天下の中で、祭りを行われる方も大変ですが、観る方の私達も、約2時間半の定点観測で、前の人の頭をかき分けて観て写真を撮るのは相当のエネルギーが要りました。次から次にやって来る山鉾に熱中し、時間が経つのも忘れていました。ふと気が付くと、かなり日焼けしていました。テレビで生放送もやっていて、こちらでは接近した映像や解説で知識は入って来ますが、やはり実際の現場に行かないと臨場感は感じられませんね。これは、スポーツ観戦でも同じことが言えるかと思います。

 昔、精神病理学の大家の木村敏先生の講演を聴いたことがあります。先生は人々が生きる時間性に着目し、フェストゥム(祝祭)の観点から、精神疾患について祭りの前(アンテ)、祭の最中(イントラ)、祭の後(ポスト)に分けて独自の祝祭論を構築されていました。てんかんや躁病患者の現在に没入する生き方は「イントラ・フェストゥム(祭りの最中)」、うつ病の人の完了態としての生き方は「ポスト・フェストゥム(祭の後)」ですが、実際の臨床現場で双極性障害の方が躁転して激しいエネルギー消費の後で、激しく落ち込む様子を診ていると、この祝祭論も頷ける点が多々あります。

 祇園祭を観ていて、三校から京大医学部に進まれ京大教授までなられた木村先生の理論の背景にはもしかしたら京都の祭り文化があったのかも?という気もしました。巨大な山鉾を水と板きれだけで曲げる豪快な技には皆の協力とバランス感覚が必要ですが、ストレスが多い世の中を上手く生き抜いて行くには、他者との協力やいかに精神の中庸を保つかが大事であると祭りからヒントを貰いました。