今日10月10日は、日本ではスポーツの日や目の愛護デーであるが、世界的には「世界メンタルヘルスデー」である。世界精神保健連盟が、1992年よりメンタルヘルス問題に関する世間の意識を高め、偏見をなくし、正しい知識を普及することを目的として定めた国際記念日です。
今から30年前は、ちょうど私が精神科医になったばかりの頃です。あの頃は街中のメンタルクリニックなどは数少なく、精神科を受診するということは、鉄格子の病棟がある精神病院を受診することに近く、受診に相当な決意が要る時代でした。また、研修医の時に「精神科医になるという」と先輩医師や同期医師から「プシコの医者になるのか?自分が変だからか?」などと辛辣な言葉を浴びせられ、変人呼ばわりされる時代でもありました。
あれから30年、メンタルクリニックもブームの様に沢山出来て、標榜科も「精神科」だけではなく「心療内科」と名付けられる様になり、普通の内科を受診するのに近いくらいまで受診の敷居は下がったと思います。実際潜在患者数は多く、昔は身体的な愁訴で内科を受診していた人が、メンタルクリニックが増えたことにより掘り起こされて受診患者数が右肩上がりに増えました。メンタルの患者さんが身近にいる場合が増え世間の偏見も減りました。
しかし、メンタルクリニックの数だけが増えればよいのか?という医療の質の問題もあります。最初に受診したクリニックにより、後の治療予後が随分変わることも実例を通して見て来ています。当院としては、縁あって巡り合った一人一人の患者さんを大事にして、新患の時から真摯に愚直に良質な医療を提供して行くだけです。
コメントをお書きください