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種まく人

NHKこころの時代で、現在月1回第3日曜日に「それでも生きる 旧約聖書『コヘルトの言』」が放映されています。その中には「すべての出来事には時がある」という「時の歌」など有名な詩もあります。3月20日の番組最終回のタイトルは「それでも種をまく」です。

 この番組制作のきっかけとなった小友聡先生の著書を取り寄せて読みましたが、その本の表紙の絵がゴッホの絵でした。ちょうど本が届いた同じ日に行った名古屋市美術館で開催中の「ゴッホ展」で、表紙の絵の本物にばったり遭遇してびっくりしました。

 コヘルトは「限られた人生だから徹底して生きよ」と呼びかけ、無駄に終るかもしれないけど「朝から晩まで徹底して種をまけ」と言いました。

 ゴッホも画家になる前は牧師見習いをしていましたが、挫折して画家に転向しました。約10年という短い画家人生で2日から3日で油絵一枚という驚異的なペースで、我々後世の人間に彼にしか描けない絵という沢山の種をまいてくれました。

 この日、偶然にもコヘルトとゴッホにつながる熱い物を感じました。 

 精神科の臨床では、初診で長い時間かけて一所懸命診ても次に来ない人が多いという現状がありますが、それでも私共は弛まず精神科医療の種を毎日まいて行きたいと思います。