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福富太郎の眼

先日「ひのとり」に乗って大阪まで日帰りで行ってきました。「メトロポリタン美術館展」のフェルメールを始めとした名画も素晴らしかったですが、近くであべのハルカス美術館で開催されていた「コレクター 福富太郎の眼」展は感慨深いものがありました。氏は終戦後15歳でキャバレーのボーイとなってから色々と苦労してからキャバレー王として成功し、全国に一時は44店舗もの店を展開するなど大成功し、テレビ出演していましたが、一方では少年期から興味を抱いた美術蒐集に熱中し、結果的に日本近代美術を代表する様な稀代のコレクションを形成されました。昔夜のテレビ番組で拝見した柔らかな姿とは裏腹に,真面目で質の高いコレクションの数々に圧倒されました。

 彼は他の人の評価や作家の有名無名関係はなく、自分の眼で見て好きな作品だけを集めました。結果的に事業で得たお金を文化財に変えて散逸し易い名作を後世にまとめて残す有意義なことをされました。

 どうしても手に入れたい作品は、アメリカのオークションのまで行って手に入れるなど、そのエネルギー力は凄いものを感じました。最近は、男性も中性化して男性的なエネルギーに欠ける人も多々いますが、福富氏の生き方からは、元は貧乏でも「一旗揚げたるぞ」と自分の力だけで成り上がって成功して行く強烈な男性エネルギーが感じられ、そのエネルギを独自の眼力で選んだ美術作品に昇華させて行くコレクター魂が併存していることが稀有であり素晴らしいことだと思いました。見事なコレクター人生であったと感服致しました。私も「小さくまとまっていてはいけなぞ!」と今は亡き氏に励まされた気持ちでした。