昨年の秋に岐阜県美術館に他の特別展を観に行った時に常設展の中の企画である「寄贈記念 森洞春展」を偶然観た。飛騨高山出身の版画家森洞春の没後35年を機に遺族から寄贈された作品のお披露目の展覧会であった。沢山の版画作品はどれも飛騨高山の版画ともいうべき素晴らしさがあったが、その中で「遊戯三昧」という洞春の書が特に印象に残っています。幼い頃から版画制作が好き好きでたまらず、版画一筋に歩んだ洞春の生き方が伝わって来る思いでした。
「遊戯三昧」は元々は仏教の言葉で、その解釈は色々とありますので成書に任せますが、大まかな意味は「日常生活に関わることを全て遊びの様に徹してやろう」という意味です。
働くことも遊び、人の為にすることも遊び、辛いこと苦しいことも遊びと思い、目の前のどんなことも楽しんでやれる自由の境地に私も皆さんも少しでも近づけると良いと思います。
森洞春はかって「版画制作は私にとって宿命的なものであり、人間探求の道である」と語っていますが、私にとってはこの「版画制作」を「精神科診察」に置き換えても良いと思いです。日々の診療行為も広い意味の遊びと思い、診察を楽しむつもりで日々患者様と向き合いたいと思っています。
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