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過ぎたるは猶及ばざるが如し

精神科の患者さんで不安が強い方に現れやすい「強迫」という症状がある。不潔が気になると何度も手洗いをしたり、外出中の泥棒が気になる人は出掛ける前に玄関の鍵を閉めたか何度も何度も確認したりと、自分でも馬鹿馬鹿しいと思っても止められない止まらなくなる。病名としては不安障害のうちの強迫性障害という診断となるが、アルコール依存や過食症もお酒や食への強迫症状と捉えるなど、「強迫」は精神科領域ではもっと広い概念であると思う。

強迫性障害の場合、治療的には抗うつ剤などの薬が効く人もいるが、効かないことも多く治すのに厄介ない病気である。露妨暴害反応法という行動療法で治す方法も無くはないが、やっている所を探すのが大変なほど少ない時間とお金がかかる治療法であり一般的ではない。最近では、私も強迫の患者さんとの診察では達観的となり「手洗いや鍵の確認はやっても良いが、適当な回数にしといてね」とあえて強迫行為の時間や回数にはあまり触れずに、他の事に話題を向ける様にしています。

「過ぎたるは猶及ばざるが如し」という格言は、気分変動の病気である双極性障害にも当てはまる箴言ですね。