移転後、10代から20代の若い人を診ることが多くなった。診察を終えてよく頭に浮かぶ歌詞がある。中村あゆみさんの名曲「翼の折れたエンジェル」の中の「Uh翼の折れたエンジェル、あいつも翼の折れたエンジェル、みんな飛べないエンジェル」というフレーズである。
若い人も皆が皆、通常コースを順調に進むわけでもなく、それぞれの事情でコースアウトしたり挫折してメンタルクリニックにたどり着く人が多い。最近の精神疾患をめぐるキーワードとして「生きにくさ」があるが、若者が生きることに悩み苦しむ姿を診察を通して相対していると、こちらも色々と思うことも多く、エネルギ-が要ります。
36年前の恋愛ソングの中の言葉が年月を経て今の私には、本来子供から大人へ順調に羽ばたいて行くべき若者が傷つき上手く羽ばたけないでいるジレンマを「翼が折れて飛べないエンジェル」と象徴して表現している様に思えてなりません。
将来ある若者の傷ついた翼を治療を通して休めて貰い、また羽ばたいて行ける様に我々も全力を尽くして行きたいと思っています。飛躍への願いを込めて、昨年撮った鷺の飛翔の写真を再掲します。
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