最近、私が一番気になっている漢字は「壁」である。学校の壁、社会の壁、会社の壁などを上手く乗り越えられず、挫折してクリニックを訪れる人が多い。壁を乗り越えるというは簡単ではない。上手く方向転換できれば良いが、そこで葛藤が生じて行き詰る人が多い。結果は症状化しての受診である。世の中は競争社会であり、どの世界も激しい競争の中で毎日闘いの日々である。いかにご本人が壁を乗り越える様な手助けをするかが診療行為の一つの鍵でもあると思う。

一方では、ある時は壁を高くしないと行けない時もある。コロナ渦に対しても島国という長所を生かせず、壁が低いために外国からのウイルス侵入を招いてしまったことは今後の反省点である。

自分のことに戻れば、日々の医療行為も医院経営の面からみると他との競争であるが、いかに参入障壁を高くするかの知恵比べでもある。他の新しいクリニックが出来ても、他と比べて絶対負けないと思える何かがあることが、生き残りの道と思い精進の日々である。開業医の努力に終わりはない。