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望診

当院は受付と診察室の間に距離があり、今はたまに看護師さんに患者さんを呼び入れてもらうこともあるが、少し前までは全員私がお呼びして診察室に招き入れていた。待合室は受付を通り越してもう少し向こうにあるが、新患さんの場合、あらかじめ書いていただいた簡単な問診表をちらりと見た後で、遠くにおられるお顔を拝見すると瞬間的におおよその診断がつくことが多い。実際の診察はその確認作業になり予想が当たっていたか否かの確認作業になる。古来、望診といわれる経験知の一種である。

精神科診察ほど検査がなく診断がつけやすい科目はないが、医者によって主観が入り診断が違うことが多い。診断が簡単そうで難しい科目であると思う。

日々が経験知の集積の場でもあり、一人一人の方に真剣に向き合って行こうと思う。