· 

柴胡加竜骨牡蛎湯

「男は敷居を跨げば七人の敵あり」という江戸時代からの言葉があるが、現代では男女限らず、外へ出ると強いストレスが待っている。私が、特に働くお父さんの為の薬がこの薬である。西暦で言えば、3世紀頃に「傷寒論」という本に記されているという記録があるので、薬自体はもっともっともっと前からあると思われます。

漢方薬は生薬のブレンドであり、この薬は10から11種類のブレンドであるが、特筆すべきは他の植物系の生薬の中に竜骨(大型哺乳類の化石化した骨)と牡蛎(牡蠣の貝殻を砕いたもの)という非植物系の炭酸カルシウム成分が二つ含まれていることである。これらを混ぜることは幾多の経験を経た後の先人の知恵であると思われます。

抑うつやイライラなどの精神症状、動悸や高血圧、不眠、陰萎などの自律神経症状にも効くとされ、漢方の副作用の主な原因となりやすい甘草も含まれていないので、非常に使いやすい薬である。メーカによって一部成分が違い、便秘に効く大黄が含まれているメーカと含まれていないメーカーがあるので、その人が便秘があるかないかでメーカーを使い分けることが出来ます。この1剤だけで、日中に精神的身体的緊張が緩和され、夜もよく眠れて快調なので続けたいというサラリーマンの方が沢山おられます。

一般的には、日中の緊張緩和の為によくベンゾジアゼピン系の安定剤が使われますが、こちらは眠気や脱力感・依存性などの問題がある副作用がある薬であり常用量でも依存症になりやすいので、なるべく最初から使用を避けるべき薬であると思います。それに比べてこの漢方薬は依存性などの副作用は殆どありません。大昔からの知恵が現代のストレス社会を生き抜く為に生きている、人類の英知の結晶と言っても良い程のお宝薬であると思います。