憂を解く

当院に掲げてある刻字額は、殆ど全て安藤豐邨先生に直接オーダーした作品ですが、この作品だけは個展で観て気に入って直ぐに購入した作品です。画面の右下に詩がありますが、その左から二行目の憂と解の二文字を取り出して上に大きく刻んであります。画面の一番右に在る刀がその左にある牛をスパッと捌こうとしている「解」という字。画面一番左にあるのが「憂」です。字の中には「目」の字があり、その下の「心」という字は人が悲しくて、顔に手を当て泣くしぐさに由来すると分かります。心の点々はもしかしたら流した涙かもしれません。

常に傷ついた心の患者さんに寄り添い、人の憂いを解く医者になりたいと思い、この額を診察室の壁に掲げてあります。