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古い聴診器の旅立ち

医者になった時に義兄にお祝いで買ってもらった古い聴診器。日赤での研修医の時の救急外来勤務などの激しい勤務を共にしてくれた思い出の品です。ローテート研修が終わって専門科目を選ぶ時には、内科と外科がメジャーと呼ばれ一段上の科でその他の科はマイナーと呼ばれていました。亡くなった母からは、当時「聴診器を使う科を選んで」と言われましたが、あえて自分の意思を通して精神科という聴診器を使わない科を選びました。あれから30年以上経過し時代も変わりましたが、我が道を行くで選んだ科に間違いはなかったと確信しています。その後、聴診器はだんだん使わなくなり、それでも患者さんの血圧を測る時くらいには使っていましたが、時代の変化で水銀柱の血圧計は使わなくなり、家電製品の血圧計で事足りる様になり、聴診器はいよいよ使わなくなりました。最近、遠方の医学部で学ぶ息子が「実習で聴診器が要る様になった」とのことで、この度私の古い聴診器は手元から旅立って行きました。

先のことで気が遠くなりそうですが、いずれ息子に医院のバトンを渡す時まで、山口メンタルの看板を背負って頑張りたいと思います。