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妙薬 アナフラニール

メンタルクリニックの治療のメインは、その人に合った妙薬探しである。試行錯誤の末に、ピタリと薬が合うと急に良くなられることがありその報告を患者さんの口から聞く時は嬉しい瞬間である。

 私が好きな薬にアナフラニール(クロミプラミン)という薬がある。この薬は私が医者になる前からある古い三環系抗うつ薬であり、10mg錠の薬価は10円未満であり、3割負担は3円ほどの安い薬であるが、今でも良く効く薬として立派に生き残っている。

寝る前に服用すると眠りが深くなり途中で起きにくくなる。IBSで下痢気味の人には便が固くなるので便通も改善し、抗うつ剤なので気分も持ち上がるなど多彩な効果がある。浅い眠りで夢が多い、下痢、抑うつなどの症状を併せ持つ人に使うと技が決まることが多い。ただし、この薬は口喝、便秘、倦怠感などの副作用も多いので使いこなす技量が必要な薬でもあります。

 この薬が、昨年3月に九州大学の研究でコロナウイルスの細胞内侵入阻害について、他の1200種類の薬の中で一番効果があるという研究結果が発表されました。実験でウイルス増殖抑制効果も認められ、政府がコロナ治療薬として認めた「レムデシベル」との併用で、よりコロナウイルスへの治療効果が増すとも報告されました。この薬は将来研究が進むと、精神科領域を超えて世界を救う可能性のある妙薬であるのではないか?と思っております。

日本人が大好きなおにぎり型なのも、とても良いですね。